人生のバグに振り回されがちな人や、日常でクスッと笑って気分転換したい人へ。まじこの波乱万丈な実体験エピソードをお届け中!

第3話 まじこ 初の「のぞき見」

まじこが 3 歳くらいの頃、うちの両親は離婚したんよね。
これはまじこが学校に入ってからわかったこと。

でも、まじこにとって父親って、最初から「いないのと同じ」
顔もわからんくらい存在感がなかった。
「離婚」という言葉の意味も状況もこの頃は知らないし、そういう環境の下で生活していたから「別れ」とか「離れる」って意味が解らないし知らない。
そもそもいないからその状況が当たり前やったんやな。

それから家族は、お母さんと 10 歳上の姉と、まじこの 3 人暮らしになった。
ま、それまでもそんな生活やったから変わらなかったんやろな。

不思議なんやけど、この頃の家族の思い出って、ほとんど残ってないんよ。
どこかへ出かけたとか、ご飯を食べたとか、なんにも。
そんな何気ない記憶でさえ、まるですっぽり抜け落ちてる。

お母さんが昼間に家にいた記憶もあまりなくて、いつからそうだったのかも覚えてない。
お母さんは何してたんやろどこにいたんやろ。

でもね。
ひとつだけ、今でも昨日のことみたいに思い出せる光景があるんよ。

奥の部屋でまじことお姉ちゃんは布団を並べて寝てた。
枕元のふすまが少しだけ開いていて、隣の部屋の灯りが細く漏れてた。

なんやろ思って、まじこは布団の中から灯りの向こうをのぞき見た。

その灯りの向こうには、お母さんが着物に着替えてたんよ。
ラメが入った白い着物に、黒い縦のストライプの小物やった。

子どものまじこは、それを何となく眺めていただけ。

なんでその場面だけ覚えてるのか、自分でも不思議なんよね。
大人になってから、ようやくわかった。

子供の頃の視点ってそのとき時の状況や感情ってもちろんあるんやろうけど、大人になるとその時の感情なんて思いだせんし、たぶんこうやったんやろなって想像するくらい。
まじこみたいにそっくりあの期間の記憶がないってこともあるんやけど、なんや眼に焼きついたようにはっきりとした絵の様に覚えていることもあるんやな。

それがこの記憶や。

おもちゃは持っていないけどこれがある!

まじこはおもちゃというもので遊んだ記憶がない。
買ってもらった記憶もなくて日中は何をしていたんやろ。
お母さんの年そしてその時の時代からするとまじこは遅い時期の子供。
アパートにもまじこみたいなちびはいなかった気がする。
幼稚園や小学校に行ってる子供たちがいたから、銭湯に行く時もそこ達に連れられて行ってた気がする。
でも、確か黒いタイツで作ったネコみたいな人形を持っていた記憶がある。
結構それは小学生なってももってたわ。
修繕したあとはたくさんあったけど確かにその猫ちゃんの人形はあった。
タイツに綿を詰めて簡単に作ったネコだけど、姉が学校の休みの宿題でお母さんと作ったと後から聞いたきがする。

あとはお母さんが新聞に入ってくる広告でつくったノート。裏が白い広告限定だけど。ノートみたいな形にして端っこを糸で止めてたな。
なんや真っ白い紙がうれしかった記憶がある。

そして鉛筆が欲しい時は勝手に姉の机の引き出しをあけたらダメだったこと。

鉛筆もちゃんとそろえて整理整頓してる姉にまじこが少しでも手を加えたらとんでもない癇癪を落とされていただろう。

だからこの頃もまじこはその猫ちゃんと広告ノートがおもちゃやったんやろきっと。
今の子供たちは贅沢やなそう思うと。スマホだタブレットだゲームだって親から与えれれる時代やもんな。
いつもお下がりを着て、誰かの靴を履いて遊んでたまじことは大違いやな。

コメント

タイトルとURLをコピーしました