不思議なことに、まじこになんだかやきもちを妬く子がおるんやな。
まじこが群れを作らない代わりに、ちょっとほかの子と仲良くすると、その子の群れの子がまじこに
やきもちを妬いてくる。
そういう子は、大体決まって何人かのグループではなく、2人組で仲の良い子や。
所有欲か?「取られる」と思うんかな?
2年になったときやった。
小学生で同じクラスだった子が、体操服を忘れたからまじこに借りに来た。
クラスが違うから、同じ時間に体育にはならへん。
まじこはためらわず「いいよ~」って貸したら、その子と仲の良い子が「なんでまじこから借りたんや」ってその子に言ってきたらしい。
話を聞くと、一番最初に自分に聞いてほしかったんやて。
「だってサイズが全然違うやんな~」って、笑い飛ばしたことがあったんよ。
当時は休みの子に給食で出たパンを届ける習慣があったんや。
先生がまじこに「帰りに届けてやって」とパンを渡した。
まじこは帰りがけに、その子のお宅へパンを届けなきゃなと思っていた矢先、案の定ほかの子が「私が行くからいい!」と言って、パンをまじこから奪っていった。
それを見ていた男の子たちが、「あいつ自分で食うぞ」「ギャハハ!」と言いながら馬鹿笑いをしていた。
まじこは相変わらず、特に誰と仲良くするというより、その時いた子と仲良くしていた。
だって、一人でも更衣室に行けるし、一人で他の教室にも行けるし、一人でトイレにも行ける。
ただ、そんなまじこやから、他の教室での授業があって自由席やと、一人席になることも多かった。
ほかの子は必ずつるんで行動するから、さっさと隣同士で座るんやな。
だから大概、まじこは空いてる席に座るから「ぼっち族」になる。
でも、それが快適やった。
お爺ちゃんの名前を出すな!理不尽な先生の説教
お母さんは保母の資格を持っていて、お爺ちゃんの知り合いの繊維工場の偉い人から、「工場の保育所で働かないか」とお誘いがあり、そこで保母さんとして働くことになった。
古いけど社宅もあるらしかった。
お母さんは乗り気だった。
ただ、そこは学区外だった。
転校の話も出たが、その学区だと、あの小学生時代の「あの子(いじめっ子)」がいる中学になる。
そして、知らない人たちのところにポツンと入っていく度胸は、当時のまじこにはなかった。
自分からどんどん他の人の輪に入っていくタイプではなかったから、「また転校させられるのではないか」という不安が、常に頭の中にあったんや。

そんなことを授業中にグルグルと考えていたら、先生から「はい、まじこ君」と指名された。
「はっ?わかりません」
そりゃそうや、ほかの事を考えてたんだから当たり前や。
が、先生がすかさず、
「ん?わからない? 〇〇家の子がわからない? あなたの従姉妹もお姉さんも成績優秀で……」
というお説教を、クラスのみんなの前で大発表されてしまった。
確かに、お爺ちゃんは市会議員を長くやっていて、お爺ちゃんの孫たちも、私の姉も成績が良かった。
それをわざわざ言うんや、あの先生は。
まじこは、寺の鐘が頭の中でゴ~ンと鳴り響いた。
なんで?
なんで家柄が関係あんの?
なんでそれをみんなの前で言うの?
みんなに1mmも関係ないやん!
そこから、まじこの中学生ライフは180度変わった。
テストの裏はキャンバスや!まじこのサイレント・テロ
授業は、楽しい先生の授業しか聞かない。
ノートに絵を描いてるか、寝てるか、男子から借りた漫画『俺は直角』を机の下で読んでるか。
テストは、答えが分かっていてもわざとでたらめな回答にする。
テスト用紙が配られると、すぐに裏にひっくり返して、漫画を描く。
そんなありさまやった。
静かに、誰にもわからないように反抗していたんや。
生理でもないのに「おなかが痛い」と言って学校を休む。
「あ~、今日はマラソンや。よし、生理になろう」
そんな感じや。月に何回生理が来るんや、ちゅう話な。
案の定、成績はガタ落ち。
でもな、これ、すごい得もあるんやで。
まじこは「静かに」反抗していたから、大人たちは誰も気が付かない。
それに、群れを作らないから、同級生も誰もまじこの成績なんか気にも留めていない。
バレるのは、お母さんにだけ。
ある日、家庭訪問があり、先生が家に来た。
目の前で、都合のいい綺麗ごとを取り繕って話している大人たち。
「先生も、こういう時は都合よくしゃべるんやな」
そう心の中で毒づきながら、不愉快な感じを抱えたまま、まじこはその場から静かに去った。
お母さんが、その後どんな顔をしていたかは、もう知らん。



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