人生のバグに振り回されがちな人や、日常でクスッと笑って気分転換したい人へ。まじこの波乱万丈な実体験エピソードをお届け中!

第15話 下宿あります 

まじこの記憶はぼやぼややから、細かいところはよう覚えてへんのやけど、多分、姉は一浪
してたんやと思う。
国立やさかい、そら難しかったんやろな。
今だから言えるのは一浪した時の生活費用受験費用、たとえ合格したとしても学校にかかる費用はどうするつもりやったんや?って思うわ。

そのころのまじこは、今と違って「早起き大好きまじこ」やったから、昼近くになって起き
てくる姉を見て「なんでこんな時間に起きてくるん?」って思ってたのは間違いない記憶。
姉はお年頃の女の子やったし変な時間に寝てへんな時間に起きてくる。お洒落さんもあまり気を使わないタイプやったから起きてきた時の姉の臭いがたまらなく嫌だった。

お母さんはその頃から下宿を始めるんよ。

当時は不動産屋さんとか○○賃貸とか、そんな便利なもんはなかったし、WEB なんて影も
形もなかったから、部屋探しは“住みたい場所を歩いて探す”しか出来なかった。
刑事ドラマみたいやろ。(刑事は足を使う!部屋探しも足を使う!)みたいな感じや。

だからお母さんは家の前とか、タバコ屋さんとかに「下宿あります」って紙を貼ってた。
昔は電話もないから、突然知らん人が来て「お部屋、空いてますか?」って突然訪ねて来る
んやで。
貼り紙には住所も書いてあるから住所を貼り紙でさらしてるわけや。
今考えるとめちゃくちゃ怖いやろ。

2 階の 1 室を姉とまじこが使い、もう 1 室を下宿人さんに貸すわけや。
下宿って、部屋だけ貸すんじゃなくて“朝食夕食付”なんよ。
だからまじこ達と一緒にご飯を食べる時もあるし、お風呂も家の風呂を使う。
洗濯と掃除は自分達でする。

まじこ、なぜがお母さんがしてた下宿業で入った人の苗字、全部覚えてるんよ。
自分の記憶さえぼやぼやなのにはっきり覚えている。
不思議やわ。

2 階の一間には、社会人なり立ての若い兄さんがおった。
この人が下宿人 1 号や。

姉の優遇、お母さんは「一肌脱ぐ(ひとはだぬぐ)」

姉が一浪して、もう一度受験をしてめでたく合格。
合格祝いとかそんなもんもしてなかったような気がする。
姉は大学に合格しすぐに家を出て行った。
家から出ていくことどこで暮らしていたのかまじこはわかっていなかったが、その後も含めて姉は自分の希望やしてほしいことをきっとお母さんにしっかり伝えられていたんやな。
優遇されてたんや。姉は。 

姉が家を出てからは、まじこと姉が使っていた部屋は広かったから、まじこもその部屋から出て、その広い部屋に大学生の下宿人さんが 2 人入ることになった。
まじこはこの大学生のお兄さんたちにすごくお世話になることになる。
そんなことはその時想像もつかなかったな。
最初に住んでたお兄さんが出た後は、この 2 人がそれぞれ 1 人 1 部屋を使うことになった。

その後、一度だけ建築の人達が“飯場(はんば)みたいに”使っとった時期があった。

寝泊まりしてたのは数人やけど、働いている人のご飯の支度は全員分線とあかんからお母さんは大変やったみたいや。
その期間だけ、おばちゃんがわざわざ内地から手伝いに来てくれていた。
選挙の時お母さんが手伝いに行ったように今度はおばちゃんが来てくれて、まじこはおばちゃんが好きやったからなんとなくうれしかった。

ちょうどそのころ、現場の人たちが衣類につけてくる木くずで、お母さんが「アレルギーに
なる事件」があったんよ。
お陰でおばちゃんもちょっとの間延長してお手伝いせんとあかんかった。
ママゴンも大変やったと思う。

もしかすると、たぶん生活は普通に安定してたけど、姉の大学の費用を捻出するために、お母さんは自分ができることを全部やってたんやと思う。
そのころはお母さんが忙しくなり、まじこは勉強のことで怒られることもなくなっていた。

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